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しまび日記

【北斎博士ちゃん、ありがとう!】プレミアム・ギャラリートークを開催しました。

ついに開幕しました「北斎展」。初日は“北斎博士ちゃん”こと、国際北斎学会特別顧問の目黒龍一郎さん(中学2年生)が来館し、「来るぞ!来るぞ!北斎博士ちゃんが来るぞ!プレミアム・ギャラリートーク」を行ないました。

目黒さんは、テレビ朝日「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」に出演したこともあり、開始前から多くのお客様が会場に集まっていました。14:00、安田館長の挨拶のあと、マイクを目黒さんにバトンタッチ。その瞬間、中学2年生とは思えない、流れるような解説が始まりました。

まずスタートは4階展示室から、北斎習作期~春朗の時代~です。「よく知られている北斎という名前ですが、実は何度も改名しています。さて何回、変えているでしょう?」とお客様にクイズを出し、お客様の心を一気にとらえます。30回も改名していると知り、お客様からは驚きの声があがっていました。

次に、北斎修業・壮年期~宗理・可候・不染居・北斎・戴斗の時代~。『忠臣蔵』の作品が並びます。思いを込めて描いた理由の一つは、大石内蔵助ひきいる赤穂浪士により討ち死にした吉良上野介の家臣、小林平八郎が、実は、北斎の曾祖父だったからという興味深いお話。

そして摺物・戯画・鳥羽絵のコーナーでは、『東海道五十三次』の解説です。広重より30年も早く制作され、広重に影響を与えたこと、中でも《名所一覧》では空から地上を見下ろした鳥観図として表現され、飛行機やドローンがなかった時代に描いた北斎の観察力、想像力について熱く語られました。妖怪が描かれた『百物語』では、100の作品を制作するつもりが北斎の描いた作品があまりにも恐ろしかったため、5作品で終了、その5図すべてがしまびに集結したというお話。

3階展示室に移動し、まず最初にショーケースに展示されている『北斎漫画』の誕生秘話を解説。さらには、一点ものである肉筆画の希少性について版画と肉筆画の違いをお話されました。

クライマックスは、2階展示室の風景画完成期。最も目黒さんが時間をかけてみなさまに説明したかった『冨嶽三十六景』です。目黒さん手づくりの分廻し(コンパス)を使った説明、黄金比の説明、レオナルド・ダ・ヴィンチの《最後の晩餐》の構図との関連性をからいかに北斎が描く作品が計算しつくされた構図かを説明してくれました。

北斎とその弟子たち~版画・摺物~のコーナーでも、北斎博士ちゃんトークが炸裂しました。「『実は…』の連発ですけとそれほど北斎には裏話が多いんです」とお客様をうなずかせます。

最後のコーナーは、北斎に魅せられた浮世絵師アンリ・リヴィエール。江戸時代、ヨーロッパで流行したジャポニスムで多くの画家たちに影響を与えたお話をしてくださいました。

1時間という限られた時間で、あっという間の充実したプレミアム・ギャラリートークでした。

目黒さんにとって、今回は九州初上陸、初のギャラリートークでした。龍一郎さんとご同行されたお母さま、遠方から佐世保にお越しいただき、ありがとうございました。そしてもちろん、北斎作品をご一緒に鑑賞してくださったみなさま、ご来館ありがとうございました!

しまび初の「北斎展」は、12月3日(日)までの開催です。本物の北斎作品をぜひご覧ください。次のギャラリートークは10月24日(火)11:00から、本展担当学芸員の中野英行が行ないます。