11月29日(日)、佐世保市少年科学館(星きらり)から、すえじゅん先生こと、末吉 純先生をお迎えして、ワークショップを開催しました。
このワークショップは、浮世絵の巨匠たちが愛した美しい青、通称「ベロ藍」を再現して和紙に絵を描くワークショップです。
ベロ藍はベルリンで偶然、開発され、出島より江戸に伝わった化学顔料です。
まずは、すえじゅん先生が解説を交えながら、実験の手順のお手本を見せてくださいました。

参加者のみなさんは、普段使わない実験器具に戸惑いがらも、真剣な面持ちで化学薬品を慎重に調合していました。実験のクライマックス、硫酸第一鉄の溶液とヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウムの溶液を混ぜる工程では、まじりあう瞬間から鮮やかな青が生まれ、参加者の間からは思わず「おおっ!」という感嘆の声が上がりました。



できあがったベロ藍で絵を描く時間では、しっかり下描きを家で準備して持参されていた参加者がいて、このワークショップをとても楽しみにしていたんだ!とおっしゃっていたのが印象的でした。
力作、大作が次々と出来上がり、お互いの作品を披露しあう場面もあり、最後には参加者同士で浮世絵の巨匠たちが感じた感動を分かちあうことができた有意義なワークショップとなりました。

10月29日(日)15時に島瀬美術センター1階ロビーで「音楽の絵画展~子どもたちが奏でるアート~」の関連イベント「ミュージアム・コンサート~奏でる音がまるで絵になるように~」が行われました。主催者は佐世保市で【英語de音楽】の講師を務めている田端春江氏です。田端氏は幼児クラスから高校クラスまでの受講生を中心に英語とピアノのレッスンを行っています。
ミュージアム・コンサートに参加した子どもさんは、アメリカの音楽「Old MacDonald Had a Farm」を歌ったり、ティッシュ箱で作ったドラムを元にドイツの音楽「天国と地獄」を演奏したり、ハンガリーの伝統行事などを紹介しつつも「ハンガリー舞曲第5番」の演奏など多数の曲を一生懸命に頑張っていました。
他にも、幼稚園の年長さんが『Goodnight Moon』の英語で読んだり、文字がない絵本を中学生の二人が見た感覚を英語で会話、ピアノ独奏、フルートアンサンブル等と数々のプログラムが行われました。会場に見に来たお客様は熱心に子どもたちの一生懸命に取り組む姿や演奏を見守ったり楽しんでいました。
コンサートの締めには「上を向いて歩こう」を出演した子どもたちと会場のみなさんで合唱し、曲が終わると盛大な拍手が送られました。








しまびは日々、変化しています。「北斎展」絡みで嬉しいお客様がご来館。LEGOで作った北斎の《神奈川沖浪裏》を小学6年生の男の子とそのお父さんが持ってきてくれたのです。見ると、波の部分が立体的!!しぶきは小さなパーツがたくさんついています。しまび職員が男の子の周りに寄ってきました。「これはみなさまにぜひお見せしたい…」
で、
「北斎展」入口の4階階段の窓辺に飾らせていただきました。
※販売はしておりませんm(__)m

華々しく開幕した「北斎展」。10月21日(土)には北斎博士ちゃん(目黒龍一郎さん)がプレミアム・ギャラリートークを、10月22日(日)には小﨑侃さんがワークショップを行なってくださいました。
で、
3階エレベーターホールに、北斎博士ちゃんと小﨑侃さんのサインとワークショップで制作した版画を飾りました。今後もコーナーを充実し、イベントのご報告も兼ねて「北斎展」を盛りあげてまいります。

もう一つの話題。5階考古展示室をご覧になっているお客様に展示の解説をさせていただくことが増えてきました。解説後、「佐世保にこんな歴史があるとは知らなかった!もっと説明した方がいい!」とのお声を多数いただくようになりました。
で、
10月26日(金)11:00~12:00、5階考古展示室に学芸員がスタンバイします。入られたお客様に、佐世保の旧石器時代、縄文時代、弥生時代の歴史について説明をいたします。お時間がある方、「北斎展」とともにお楽しみください。今後、様子を見て定期的に行えたらな~と思います。
※写真は以前のものです。

“日替わりランチ”のように日々、変化するしまび。「こないだ来た時とどこが違うかな?」と発見してみてください。
昨日10月22日(日)14:00から、彫るぞ!彫るぞ!木版画を彫るぞ!「小﨑侃さんによる木版画実演と体験」と題したワークショップを開催しました。
小﨑侃さんは長崎を代表する木版画家です。1942年熊本市生まれで、島原、加津佐を経て、長崎市で過ごしました。大平洋美術学校彫刻科をご卒業後、多数の木版画を制作、1983年には木版画集『合掌』を発表、原爆で家族を亡くした俳人 松尾あつゆきの句集木版画で大きな反響を得ました。その後、代表作となる『山頭火シリーズ』を発表。全国各地で個展を開催しています。『葉隠』『蝶々さん 連作』など、詩情豊かな木版画の世界を拓いています。作品はガラス絵、襖絵、彫刻に及び、観る人の心と共鳴し、包み込むおおらかな世界がどこまでも深く高く表現されています。
会場には、そんな小﨑先生から木版画を体験しようとたくさんのお客様が参加しました。
まず、お客様ご自身の下絵や小﨑先生がご持参された下絵の上にトレーシングペーパーを重ね、透けてみえる下絵を鉛筆でなぞっていきます。小﨑先生は「後で彫っていくから詳細に写さなくても大丈夫」とアドバイス。少し安心してお客様はのびのびと写しとっていました。
次に、トレーシングペーパーを裏返して、カーボン紙を版木との間にはさめ、再度、鉛筆でなぞっていきます。これで版木に下絵が写りました。
その後、みなさまを集めて、薄い墨汁で線をなぞっていくと説明されました。つまり、薄い墨汁の色をつけることで彫りやすくするためです。彫刻刀“切りだし”の解説では、北斎の時代は“切りだし”で彫る技術が基本だとおっしゃっていました。しかし、ビギナーのみなさんは“三角刀”の方が使いやすいとか。小﨑先生は、“切りだし”と“三角刀”を使いわけながら、彫っていくコツを伝授されていました。
いよいよ版木を彫る作業の体験です。みなさま、黙々と彫っていきます。中には、15年も教室に通っているお客様もおられ、マイ・彫刻刀を使い、手慣れた手つきで作業を進めていました。
最後は、小﨑先生がみなさまを集め、着彩です。今回は多色刷りではないので、1枚の版木にさまざまな色をのせ、1回で済ませます。「バレンは下に押しこむようにこする」とコツを教えてくださいました。
そして「北斎展」にご来場されたオーディエンスのみなさまも足をとめ、みなさまが見守るなか、「せ~の」で版木から紙をはがすと同時にみなさまからの歓声!!可愛らしいふくろうの版画が仕上がりました。
2時間で完成させる想定でしたが、なかなか彫る作業に苦戦し、仕上げることができませんでした。しかし、ご帰宅後、素敵な版画が完成していることを期待しています!
参加してくださったお客様、そして小﨑侃さん、ありがとうございました。
次の「北斎展」イベントは10月24日(火)11:00からの聴くぞ!聴くぞ!解説を聴くぞ!「学芸員によるギャラリートーク」です。本展担当学芸員の中野英行が作品解説を行ないます。











ついに開幕しました「北斎展」。初日は“北斎博士ちゃん”こと、国際北斎学会特別顧問の目黒龍一郎さん(中学2年生)が来館し、「来るぞ!来るぞ!北斎博士ちゃんが来るぞ!プレミアム・ギャラリートーク」を行ないました。
目黒さんは、テレビ朝日「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」に出演したこともあり、開始前から多くのお客様が会場に集まっていました。14:00、安田館長の挨拶のあと、マイクを目黒さんにバトンタッチ。その瞬間、中学2年生とは思えない、流れるような解説が始まりました。
まずスタートは4階展示室から、北斎習作期~春朗の時代~です。「よく知られている北斎という名前ですが、実は何度も改名しています。さて何回、変えているでしょう?」とお客様にクイズを出し、お客様の心を一気にとらえます。30回も改名していると知り、お客様からは驚きの声があがっていました。
次に、北斎修業・壮年期~宗理・可候・不染居・北斎・戴斗の時代~。『忠臣蔵』の作品が並びます。思いを込めて描いた理由の一つは、大石内蔵助ひきいる赤穂浪士により討ち死にした吉良上野介の家臣、小林平八郎が、実は、北斎の曾祖父だったからという興味深いお話。
そして摺物・戯画・鳥羽絵のコーナーでは、『東海道五十三次』の解説です。広重より30年も早く制作され、広重に影響を与えたこと、中でも《名所一覧》では空から地上を見下ろした鳥観図として表現され、飛行機やドローンがなかった時代に描いた北斎の観察力、想像力について熱く語られました。妖怪が描かれた『百物語』では、100の作品を制作するつもりが北斎の描いた作品があまりにも恐ろしかったため、5作品で終了、その5図すべてがしまびに集結したというお話。
3階展示室に移動し、まず最初にショーケースに展示されている『北斎漫画』の誕生秘話を解説。さらには、一点ものである肉筆画の希少性について版画と肉筆画の違いをお話されました。
クライマックスは、2階展示室の風景画完成期。最も目黒さんが時間をかけてみなさまに説明したかった『冨嶽三十六景』です。目黒さん手づくりの分廻し(コンパス)を使った説明、黄金比の説明、レオナルド・ダ・ヴィンチの《最後の晩餐》の構図との関連性をからいかに北斎が描く作品が計算しつくされた構図かを説明してくれました。
北斎とその弟子たち~版画・摺物~のコーナーでも、北斎博士ちゃんトークが炸裂しました。「『実は…』の連発ですけとそれほど北斎には裏話が多いんです」とお客様をうなずかせます。
最後のコーナーは、北斎に魅せられた浮世絵師アンリ・リヴィエール。江戸時代、ヨーロッパで流行したジャポニスムで多くの画家たちに影響を与えたお話をしてくださいました。
1時間という限られた時間で、あっという間の充実したプレミアム・ギャラリートークでした。
目黒さんにとって、今回は九州初上陸、初のギャラリートークでした。龍一郎さんとご同行されたお母さま、遠方から佐世保にお越しいただき、ありがとうございました。そしてもちろん、北斎作品をご一緒に鑑賞してくださったみなさま、ご来館ありがとうございました!
しまび初の「北斎展」は、12月3日(日)までの開催です。本物の北斎作品をぜひご覧ください。次のギャラリートークは10月24日(火)11:00から、本展担当学芸員の中野英行が行ないます。




10月20日(金)、15:00から「北斎展」開幕式を行ないました。会場にはたくさんのお客様。主催の佐世保市からは宮島市長のご挨拶、ご来賓の佐世保市議会林議長、そして“北斎博士ちゃん”こと、国際北斎学会特別顧問の目黒龍一郎さん(中学2年生)からのご祝辞をいただき、テープカットとなりました。
式典のあとは目黒龍一郎さんの作品解説です。幼稚園のころから北斎が大好きで、展覧会を観たり、本を読んだりしていくうちに北斎の作品の特徴からその生涯、人となりまで詳しく知ることとなったそうです。テレビ番組出演を果たし、中学校での授業(先生ではなく!)を行なった経験もあるほどです。解説は、用意したスケッチブックの資料や手づくりの分廻し(コンパス)を示しながら、北斎の計算しつくされた技法など詳しく説明してくださいました。「実は…」と北斎の裏話も聴くことができました。
明日10月21日(土)いよいよ開幕です。11:00から「来るぞ!来るぞ!北斎博士ちゃんが来るぞ!プレミアム・ギャラリートーク」を開催いたします。「冨嶽三十六景」をはじめ、貴重な肉筆画や「北斎漫画」、「忠臣蔵」など詳しい解説とともにお楽しみください。みなさまのご来館をお待ちしています。






[写真:しまび写真教室講師 林田聡先生]
本日10/15(日)14:00に「長崎県美術展覧会&長崎県新人演奏会 タイアップ企画」として「長崎県新人演奏会出演者による県内巡回コンサート」が行われました!
長崎県の若い演奏家のみなさんが挑戦する「長崎新人演奏会第50回記念演奏会 新人演奏会出演者&オーケストラコンサート」が11月11日(土)14:00にアルカスSASEBOで行われるとのことで、県内巡回コンサートを行うことになったそうです。今回の巡回先の最初に佐世保市博物館島瀬美術センターで演奏となりました。
今回演奏をしたのは西川千穂氏(オーボエ)と詫摩千尋氏(ピアノ)のお二人。お二人が奏でる演奏にお客様は熱心に聴いていました。
なお、県内巡回コンサートは10月22日(日)11:30~12:00に諫早市美術・歴史館、11月5日(日)11:30~12:00に新上五島町石油備蓄記念会館でもあります。いずれも入場無料です。




みなさま、こんにちは。新型コロナ感染症は2類から5類へ移行し、マスク姿のお客様が少しずつ増えてきました。
このところ、少なかった団体のお客様も増えてきました。そんななか嬉しいご報告。初めて伊万里市から団体でご来館いただきました。伊万里市生涯教育課がされている「さわやか講座」の一環です。
ご案内役は館長の安田です。まず、伊万里市とのご縁のお話(やきものの話や食べものの話)から、本題に入っていきました。
石と石器の違い、石器を作りだしてからヒトが人となっていくこと、黒曜石から鏃を作る方法、佐世保が洞窟数日本一という事実、洞窟での暮らし、ギネスブックに載っている豆粒文土器、華奢な人骨と骨太の人骨からみえてくること、身体が不自由だった人に手を差しのべる思いやりのある時代、佐世保から舟で沖縄までイモガイを採りにいっていた話、日本人特有のミトコンドリアDNA“M7a”が沖縄と北海道の人に多い理由、日本人のルーツなど、旧石器時代から縄文、弥生時代までたっぷりお話させていただきました。
みなさま熱心に聴いてくださって、「佐世保は軍港都市のイメージだったけど、旧石器時代、縄文時代からの古い歴史あるとは知らなかった!」「解説が面白くわかりやすかった!」など、みなさまから感想をいただきました。
伊万里市生涯学習課「さわやか講座」のみなさま、ご来館ありがとうございました。
しまびでは、団体様の受け入れも行なっています。学芸員のご案内もできますので、お気軽にお問い合わせください。


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本日8/15(月)、「させぼピース展~佐世保から発信する“協力”の社会」トークイベントをしました。今回で5回目を行ない、とうとう最終回となりました。今回は「第二次世界大戦と危機意識」をテーマに大野隆之氏と安田館長がお話をしました。
大野氏は、危機意識の話の中で、選挙の例をあげ、「日本人は、特に若者は、選挙に行かない人が多い。それは選挙に行っても何も変わらないと諦めているからで、政治に対して、国民の信頼が得られていないからではないか。そんな状況なので、自分で生き残る術を身につけたいと思い、自給自足の村づくりをしている」といったお話をしました。会場からは「過去に政権が変わったこともあるので、国民の一票が国を変えられるかも知れない。政治や選挙に興味をもってほしい」などの意見がありました。
また、大野氏は、移住したいと感じた国として、ウクライナ、チェコ、ハンガリーなどのヨーロッパ、ブラジル、ペルー、コロンビアなどの南米、そして、ミャンマー、フィリピンなどの東南アジアの各国を10カ国ほどあげられました。いずれの国も、貧しいながらも子どもがたくさんいて、大勢の家族で協力しあって生きているからとおっしゃいました。日本はルールが多すぎて、生きづらいと語っておられました。
大野氏のお話を聴いて、お客様からの質問や意見が相次ぎました。「危機意識をもち自給自足の生活を目指しているのは素晴らしい活動だが間に合うのか」、「戦中戦後よりは良くなっているから危機意識を持たなくてもいいのでは」といった声がありました。
それに対し大野氏は「日本人もみんなで協力して強い日本を作っていく必要がある。そのためには個人が危機意識をもってそれまであった意識を変える必要がある」と答えました。
深い議論が続き、予定の1時間を少し超過し、1時間15分ほどで終了し、そのあとも残っていらっしゃるお客様が多かったです。
8/8(火)から始まった「させぼピース展~佐世保から発信する“協力”の社会~」は8/15(火)で閉幕となりました。すべてのトークイベントに参加した皆勤賞のお客様もいらっしゃいました!みなさま、ありがとうございました!

